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連載 BEAUTY CINEMA CLUB「未来を切り開く女性たち」

人の数だけ物語があり、人生の選択肢がある。私たちはみな、未来へと続くストーリーを日々つむいでいます。
あなたの進む道がますます美しく開けていきますようにと、願いを込めて。いま観たい新作映画から、あなたの心に効く名作映画を掘り下げてご紹介します。
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©️2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
ポジティブに挑戦し、美しい未来を切り開いていく女性たちをクローズアップ。困難に立ち向かい、自分自身の人生をそれぞれ力強く歩む彼女たちの姿が、きっと勇気を与えてくれるはずです。

魂の底まで掘り下げなきゃ、 変わることはできない。

人を動かす原動力は、実にさまざま。怒りや悲しみ、見返したい気持ち、忘れられない喜び。無自覚でも、人は何かの感情に突き動かされるとき、圧倒的なパワーを発揮して力強い一歩を踏み出します。なんでもない日常を彩り豊かにするために「変わりたい」「挑戦したい」と願うのだと思います。
©️2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
「魂の底まで掘り下げなきゃ、長続きしない。歌はウソをつかない。ただ、君は魂の歌をうたえばいい」。 『アリー/スター誕生』(2018年、12/21より公開)で、スターダムへの階段を登りはじめた主人公アリー(レディー・ガガ)に、世界的ミュージシャンのジャクソン(ブラッドリー・クーパー)が語りかけた言葉です。昼間はウエイトレス、夜は小さなバーで歌いながら、歌手になることを夢みているアリー。しかし大きすぎる鼻のことや一般階級である家庭のこと、あらゆる言い訳を盾にして半ば歌手になることを諦めかけていました。そんな時、世界的ミュージシャンのジャクソンに出会います。彼女の歌に惚れ込んだジャクソンは彼女を舞台に上げ、アリーもまた彼に導かれるように瞬く間にスターダムを駆け上がっていきます。
「変わりたい」、けれども自分の才能に自信がなかったアリーは、彼の言葉を信じ、自分を信じることで動き出す勇気を得ます。彼女が作詞した「Shallow」には、もう後戻りはしない、浅瀬からもっと深いところへ飛び込む決意の強さが感じられ、心が震えます。

映画『アリー/ スター誕生』特別映像(SHALLOW)【HD】2018年12月21日(金)公開

先に待ち受ける変化を恐れ、時に何を選択すべきか真実が見えなくなるときこそ、「自分を見失わないことが大切だ」とジャクソンは言います。自身の魂に語りかけ、考え抜き、変化をポジティブにとらえて自分らしい選択を重ねること。その先には、美しい未来が待っている——そんな勇気をもらえる映画です。

やってみた人にしか、わからない未来がある。

「変わりたい」と強く願う女性の心にガツンと刺さる映画が『ジュリー&ジュリア』(2009年)。「アメリカの料理の母」と呼ばれる料理研究家ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)と、彼女の料理に魅了された派遣社員OLジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)の物語です。
専業主婦で食べることが大好きだったジュリアは、フランス・パリへの移住をきっかけに37歳でフランス料理の勉強をスタート。幾度の困難を乗り越え、料理本「Mastering the Art of French Cooking」を出版、料理番組にも出演し一躍有名になります。その50年後、作家になる夢に敗れ、生き方に迷っていたジュリーは、30歳を機に「変わりたい」と決意。幼いころから憧れていたジュリアの524のレシピを365日で作ることに挑戦し、その日々をブログで綴り始めます。作家への淡い希望を持ち、料理と文章へ魂を捧げる彼女のブログは話題となっていきます。

ジュリー&ジュリア - 予告編

ここに描かれるのは、自分の力で夢を実現させ、人生を大きく変えた二人の女性の物語。二人の生き様から学ぶのは、素直にやりたいことと向き合い、夢を妄想で終わらせないために具体的な行動を洗い出すことの大切さ。
夢、というと大げさに聞こえるけれど、“やってみたいこと”なら受け入れやすいはず。何をしたいのだろう? 何はしたくないのだろう? 誰としたいのだろう? どうなりたいのだろう? 自分の心に問いかけながら、ひとつひとつ丁寧に向き合っていくと見えてくる答えに耳を傾け、ここぞという時は強い信念を持つことの大切さを、この映画は教えてくれます。高いハードルに挫折しそうなら、ジュリアのように、できることから始めることで、見えてくるものもあるはず。それはやってみた人にしか得られない未来です。

誰かの支えが 武器になる。

夢破れたときに、ひとりで立ち上がるのは厳しいこともあります。誰かの支え、誰かの言葉が武器になり、自分だけでは持ち得なかったパワーが奮い立つことも。公開当時、多くの人の心を震わせた映画『フラガール』(2006年)には誰かとつながることで、新たな自分に気づくよろこびがパワフルに描かれています。
舞台は福島県いわき市。需要減少により廃れかけていた炭鉱の町が、生き残りをかけて「スパリゾート・ハワイアンズ」を建設。田舎で夢もなく、なんとなく友だちに誘われてダンサーに応募した紀美子(蒼井優)と、本場ハワイでフラダンスを学び、講師としてやってきた平山まどか(松雪泰子)、それぞれの思いが交錯し、ハワイアンセンターの開演を迎えるまでの物語です。

【映画予告編】『Hula Girls(#フラガール)』予告編/出演:#蒼井優 松雪泰子 豊川悦司 / 山崎静代 岸部一徳 富司純子(李相日監督|2006年9月23日公開)

注目すべきは、まどか。本場ハワイで学び、松竹歌劇団にも所属した華々しい経歴を持つ彼女にとって、寂れかけた田舎町でフラダンスの講師をつとめることは、半ば都落ちのような心情だったでしょう。さらに教える相手は素人同然。気持ちが下がってしまうのも無理はありません。しかし、彼女の姿勢を変えるのは、ひたむきに練習に励む紀美子たちの存在です。悲劇のヒロインのように、現実を受け入れられなかったまどかにとって、共に戦う仲間の熱意は何よりものエネルギーになったはず。それに応えるように、まどかは熱心に指導し、彼女自身もキラキラと輝き美しくなっていく、その変化に目を奪われます。 ひとりで、頑張らなくてもいい。一緒に前を向くことのできる仲間をみつけることで、自分らしさに気づくことだってあるはず。ただ、受け入れるだけの態勢や、やさしく差し伸べられた手に気づくことのできる視野の広さも大事だと思うのです。
「変わりたい」と強く願う気持ちや自分らしい選択が、美しい未来へとつながるはず。3本の映画が、あなたの背中を、そっと押してくれると信じています。
Text by HASADA Yoko
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