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連載 ART to GO 「フェルメール展」

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リアリズムを追及した「光の魔術師」のマジック

フェルメールといえば「光の魔術師」と呼ばれていることでも有名ですが、彼の起こす光のマジックを作り出しているのが、ハイライト部分に散りばめられた光の粒です。
ヨハネス・フェルメール《赤い帽子の娘》 1665-1666年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Andrew W. Mellon Collection, 1937.1.53 ※12月20日(木)まで展示
《赤い帽子の娘》でも、女性の鼻の頭や唇に光の粒が散りばめられ、現代のメイクアップにも通じる肌のつやや濡れた唇の質感が見事に表現されています。 点描により光の反射を忠実に表現する「ポワンティエ」と呼ばれるこの手法は、フェルメールの絵画がリアリズムを追い求めたことの証左といえます。

絵画世界にいざなう、「お気に入りのモチーフ」

ヨハネス・フェルメール《手紙を書く婦人と召使い》 1670-1671年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー Presented, Sir Alfred and Lady Beit, 1987 (Beit Collection) Photo © National Gallery of Ireland, Dublin NGI.4535
《真珠の首飾りの女》に出てくる、黄色いガウン。《手紙を書く女》で印象的な手紙。メイドの女性……。 「フェルメール・ルーム」の絵を見比べると、同じモチーフが繰り返し登場することに気づきます。
ヨハネス・フェルメール《真珠の首飾りの女》 1662-1665年頃 ベルリン国立美術館 © Staatliche Museen zu Berlin, Gemäldegalerie / Christoph Schmidt
ヨハネス・フェルメール《手紙を書く女》 1665年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Gift of Harry Waldron Havemeyer and Horace Havemeyer, Jr., in memory of their father, Horace Havemeyer, 1962.10.1 ​
フェルメールの絵に繰り返し登場する黄色いガウンは、彼のお気に入りの持ち物だったようです。死後、妻カタリーナによって作成された財産目録の最後には「黄色のサテンのガウン、白の毛皮 縁付き」と書かれています。 また、しばしば描かれるメイドの女性は、当時のオランダでは非常に身近な存在でした。 このように、フェルメールはお気に入りの服や小道具、身近な人などを、位置やシチュエーションを変えながら、繰り返し描きました。 リアリズムを追及する画家は、位置やシチュエーションを変えて何度も描くことで、さらなるリアリティを追い求めたのかもしれません。
非常に見どころ満載の『フェルメール展』。 まだまだ謎の多い画家の作品を見比べ、堪能し、その魅力を再発見できる貴重なチャンスをぜひお見逃しなく。
「フェルメール展」
会期:開催中〜2019年2月3日 ※2018年12月13日休 ※平日の夕方以降がおすすめ
会場:上野の森美術館 東京都台東区上野公園1-2
開館時間:9:30~20:30 ※ 2019年1月1日(火)〜2月3日(日)は9:00〜20:30(異なる場合あり)
日時指定入場制(入場時間枠を指定した入場券)
前売日時指定券:2,500円、高校・大学生1,800円、小学・中学生1,000円
※前売日時指定券の販売に余裕があった入場時間枠のみ、会場でも各+200円で購入できます
購入はフジテレビダイレクト(http://fujitvdirect.jp/vermeer/)、
インフォメーションダイヤル TEL 0570-008-035 (9:00~20:00)など
www.vermeer.jp/

※2019年2月16日(土)〜5月12日(日)まで、大阪市立美術館へ巡回。(一部展示作品が変更になります)
Text by TATEISHI Kaoru
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