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ピンクの思考

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ピンクがボーダーを越えていく

ピンクは無垢な少女性を表現する色でもある。「カワイイ」という言葉がよく似合う。メイクアップに関して言えば、ピンクのチークは愛らしい印象を表情にもたらすし、ピンクのリップは花が咲きはじめるような可憐さを表現してくれる。ピンクが似合う季節は言わずもがな春であり、ある種の初々しさがそこにはある。だから女性は歳を重ねると、次第にピンクのグロスよりも赤の口紅に手を伸ばすようになる。だってもう若くないから……というのがかつての定説だった。
しかし色彩表現や化学技術の発達によって、ここ10年ほどで実に多彩なピンクの化粧品が楽しめるようになった。グレイッシュなピンク、透明感のあるサーモンピンク、深みのあるダスティピンク、ブラウンみのあるピンクなど、むしろ大人だからこそ似合うピンクもたくさんある。そもそもピンク(赤み)は血色を表現してくれる色。血色を加えることは大人のメイクアップに不可欠なもののはずである。ピンクはもはや少女だけのものではない。使いようによっては、ピンクは強さだって、気品だって表現できるのだ。
多様性が鍵となるこれからの時代に、必要なのはあらゆる色と調和することのできる、まさにこのピンクのような包容力。争わずに相手を尊重する、かといってへりくだらず対等に意見を交わす。そんなムードにあわせて、ピンクもボーダレスな存在になってきたのだろうか。
淡くてやさしくグレーっぽい「ミレニアルピンク」と呼ばれる色がある。その名の通り、ミレニアル世代に好まれるファッション性の高いピンク。ソフトなのに甘くない、私は私、と自立しているようなピンク。パリで開催された2019年春夏のメンズコレクションでも、デザイナーがこぞってこのピンクを多用していた。もしかすると、ピンクが自由を象徴する色になる日も近いのか。ピンクに複雑な思いを抱く人たちの価値観が揺らぐ時、きっとピンクとの付き合い方に新たな答えがでるのだろう。
参考文献:『女の子は本当にピンクが好きなのか』堀越英美・著(Pヴァイン刊)
https://www.amazon.co.jp/dp/4907276478/
Photographs by ISOBE Akiko
Text by AYANA
Edit by HATTORI Madoka、OBAYASHI Shiho
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