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バリ島の尼僧が教えてくれるマインドフルな生き方

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今から13年前、まだ彼女が尼僧になる前のことです。ヘニ・フェラワティは、バリ島の瞑想センターに初めての沈黙瞑想リトリートを受けに行きました。しかし彼女は沈黙を守ることができませんでした。フェラワティは14日間の滞在期間中、何度も泣き出してしまい、他の誰よりも大きな音を立ててしまったのです。
写真: Christopher Bagle
「初めは誰でも、自分の気持ちをコントロールする方法や、不安との向き合い方がわからないものです」フェラワティは−−ここではフェラと呼ばれています−−そう話します。彼女はある僧侶の指導のもと、涙をコントロールする方法を学び、ほどなくしてミャンマーの僧院で暮らし始めました。僧籍を得てから7年後、彼女は母親の介護のためにインドネシアに戻り、やがてフォーシーズンズ・リゾート・バリ・アット・サヤンに併設されたウェルネスセンターで働くようになります。この風光明媚なリゾートは、ジュリア・ロバーツが『食べて、祈って、恋をして』の撮影中に滞在し、2017年にはオバマ家がバケーションのために逗留したことでも知られています。
フェラがこの高級リゾートのウェルネスセンターで住み込みのメンターとして働き出したのは5年前のこと。彼女はここで「セイクリッドナップ(聖なるお昼寝)」などのプログラムを生み出しました。紫色のハンモックに包まれながら、フェラが囁くサンスクリットのお祈りとシンギングボウルの音に耳を傾けるというこのプログラムでは、長い間不眠に悩まされていた人でもいびきをかいて眠ってしまうと言います。「このプログラムを思いついたのは2年前、娘を寝かしつけていた時でした。優しく揺すり、歌いかけながら眠りに導いてあげると、娘はとても満たされた顔をしていたのです」とフェラは話します。「それで気づいたのです。私たちは、赤ん坊だったころが一番幸せだったのだと。責任もないし、Eメールを気にする必要もない。誰からも愛されていて、自分もそれにちゃんと気づいている。だから私は、大人たちをその時代に再び導いてあげたいのです」
竹でできた天蓋の下、シークレットサービスの監視を受けながら、オバマ家のマリアとサーシャにこのプログラムを施したのもフェラでした。でも、ジャワ島出身で現在38歳、柔らかな話し方をするフェラが注目を集めているのは、このようにセレブリティとのつながりがあるからではなく、彼女の口から語られる、実用的なアドバイスのためなのです。フェラは献身的なムスリム教との母親と、厳しい仏教徒の父親のあいだに育ちました。恵まれた地位を得た今、彼女はスピリチュアルな癒しを求めて旅人たちが集うバリ島の中心で、人々の悩みの原因を理解し、その解決方法を見出そうとしています。
「今、多くの人たちは自分たちが苦しみを感じていることにも気づいていません」とフェラは指摘しています。「苦痛以上の場所にいるために、心が麻痺してしまっているのです。繊細さを取り戻すには、時に何か壮大で極端なことを経験する必要があります」
2019年こそ、健康のために徹底した養生生活を送りたいと思っている人は、自宅に瞑想するための「マインドフル・コーナー」を作ることをフェラは提案しています。座り心地のいい椅子を用意するだけでも構いません。毎日しばらくの時間そこに座り、意識を向けながら呼吸をします。(朝にはポジティブなエネルギーを引き寄せるために吸う呼吸に集中し、夜には怒りや心配を吐き出すために吐く呼吸に集中するようにします)そして1日のあいだに何度か立ち止まり、自分にこう問いかけるようにします。「私は今、何をしている?」答えはどんなに平凡でもいいのです。例えば、列に並んでいる、メールのやり取りをしている、シャワーを浴びているなど、何かを判断しようとせずに答えましょう。「そうすることで、不思議と自分の意識を今・ここに向けることができ、自分自身を取り戻しやすくなります」とフェラは話します。
フェラによると、不安や悲しみには土地によって特徴的なパターンがあるそうです。例えば、日本人は自国の文化が担う伝統に縛られることで苦しんでいることが多く、中国から来た人たちは過酷な競争によるストレスを感じていると言います。では、ニューヨーカーはどうでしょうか? そう質問する私に、フェラは「どこから始めたらいいでしょうね」という眼差しを向けました。「たいていの場合、どうしたらパートナーを見つけられるか、またはどうしたらお金を稼げるか、といった悩みが多いようです」とフェラは指摘します。たしかに人間関係の悩みというものは、いつでも尽きることのない話題のひとつです。何かいいアドバイスはあるでしょうか? 「そうですね、誰かをコントロールできると考えたり、相手の頭の中にある思いを理解できると考えたりしないことです」とフェラは言います。「9か月もお腹に抱え、6か月もお乳を与えた自分の娘だって、本人がやりたいことしかしてくれません。お互いに誤解することもあります。だとしたら、25歳になって初めて出会った誰かに何を期待できるでしょう?」
パートナーと別れた後、フェラは娘をひとりで育てていますが、この保守的な国ではシングルマザーは憐れみか嘲笑の対象になると言います。そのことで誰かに批判された時、フェラはどのように感じるのでしょうか。その質問に、彼女は微笑みを浮かべて「気にしませんよ」と答えています。仏教徒として、また母親業を通して、フェラはすべての女性に備わっている「神聖なエネルギー」について知るようになったそうです。与えられた人生の試練を乗り越えるために、「私たちは自分の身体のなかに男性性と女性性、二つの面を持つ必要があります」穏やかさや慈しみが必要とされる場面は用意されているものですが、タフな状況に置かれた時には、「戦士のように鎧を身につけてもいいのです。そしてすべての剣を引き抜いた後で、自分自身が持っている力に驚くことでしょう」
恐怖をあおるような見出し記事であふれ、予測できない危機ばかり降りかかってくるこの時代には、抱負を立てることすら無駄に思えてきます。それでもフェラには、新しいサイクルが始まるどのような時にも役に立つ洞察力があるようです。「私がみんなに伝えているのはこういうことです。『どうか、ショーを楽しんでください。面白いと思ったら、拍手をしてくださいね。でも、もしショーが悲しいものだったら? −−その時は泣いたっていいのです。それがどんなものであったとしても、いつかは過ぎ去っていくもの。だから、決して見逃したりはしないでください。そうすると、そこから学ぶ機会まで失ってしまいますからね』」
この記事は、InStyleのChristopher Bagleyが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、legal@newscred.comにお願いいたします。
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