Culture  

連載 CREATOR'S EYE
第3回「自分の体の一部になっている道具」

クリエイティブな仕事をしている三人の方に、あるテーマにそってモノやコトを推薦いただく本企画。3回目のテーマは「自分の体の一部になっている道具」です。手仕事を感じるストールに、目と耳で楽しむ音楽アプリ、機能性を追求したバックパックをご紹介します。
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地域に根ざしたものづくりから生まれた

「IIE」の会津木綿ストール

哲学者・鞍田崇

民藝や手仕事のリサーチで地方に行くことが多いのですが、一番訪れているのが福島県の会津地方です。山深く、冬は雪。そんな風土とあいまって、会津は土地に根ざしたものづくりの宝庫なんです。会津ゆかりで、しかもいつも身につけているものとして、「IIE(イー)」の会津木綿ストールがあります。
会津木綿の特徴は、色とりどりの縞模様。吸水性と保温性も高く、地元では、もともと野良着として愛用されていたそうです。ただ、近年は担い手が急減し、その存続が危ぶまれていました。製造元の「IIE」は、そんな現状を憂えた会津出身の谷津拓郎くんが、2011年、20代半ばで立ち上げた会社です。
「IIE」と出会ったのは、4年前、喜多方市にある「食堂つきとおひさま」を訪ねたときのこと。まずこのお店がステキで。若いご夫婦がもともとお豆腐屋さんだった古民家を上手にリノベーションして営んでいるんですが、地元会津ゆかりのアイテムを扱うショップが併設されていて、そこでストールを見つけたんです。素材感がありながら、抑制の効いたシンプルなデザインがいいなあと、つい手にとってしまったんですね。これが「IIE」とのはじめての出会いでした。聞くと、Uターンした若者が、同じ会津でも会津坂下町という一旦木綿生産が失われたエリアで、廃園になった幼稚園をアトリエにして(これがまたかわいい!)、木綿を要に地域の再生をもくろんで面白いことをしている、とのこと。商品はもちろん、その活動にも共感して、以来ファンになってしまいました。現在は「会津木綿 青㐂製織所(あおきせいしょくじょ)」という商標で自社織の展開を試みています。
会津木綿には無地物もありますが、僕がいちばん愛用しているのは紺縞のストール。男女問わず、誰にでも似合うデザイン。木綿はオールシーズン使えて、さっと羽織ったり首に巻いたりととても便利なアイテムです。
布を作るには手間暇がとてもかかります。だって、細かい糸準備から作っているわけですからね。伝統的なものであればなおさらですが、ほんとうに時間をかけて丁寧に一反を織り上げる。考えようによっては、気軽に手に取れるモノとはいえないかもしれません。でも「IEE」のストールは、日常にスッと入ってくるさりげなさが絶妙。応援したいなと思うブランドなんです。
IIE
会津木綿ストール
会津木綿 青㐂製織所 製
各8,000円+税
http://iie-aizu.jp
鞍田崇(くらた・たかし)
1970年生まれ。哲学者。明治大学理工学部准教授。著作に『民藝のインティマシー』(明治大学出版会)、『「生活工芸」の時代』(共著、新潮社)など。会津の布といえば、忘れてはならないのが、昭和村のからむし(苧麻)。僕が布の魅力を知ったのもここからでした。
http://takashikurata.com
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