Culture  

連載 CREATOR'S EYE
第5回「また訪れたい日本の宿」

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アートと滞在する宿

KYOTO ART HOSTEL kumagusuku

弁護士・水野祐

「kumagusuku(クマグスク)」は、2013年に開催された「瀬戸内国際芸術祭2013 醤の郷+坂手港プロジェクト」で、アーティストの矢津吉隆さんたちがアートプロジェクトの一環として、小豆島で運営した宿泊型アートスペースです。その時はまだ、Airbnbなどの民泊もない時代だったんですが、旅館を運営するための旅館業法(法律)などについてアドバイスしたのが出会いのきっかけです。
僕は、小豆島の宿には泊まることができなかったのですが、2015年に新たに矢津さんが「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」をオープンしてからは、京都に行く時にはよく泊まっています。町家をリノベーションした4部屋しかない、小さな旅館・ホテルです。作品と一緒に滞在するというコンセプトで、中庭のギャラリーや客室にアート作品が置かれています。ギャラリーでは定期的に展覧会が行われており、キュレーターも変わります。そう聞くと、今風のモダンで小洒落たホテルのように聞こえるかもしれませんが、アーティストがオーナーだけあって、アートとの距離感がすごく近いんです。
以前、2年間だけ京都精華大学で非常勤講師をしていたのですが、秋に集中講義をするために1週間、滞在している際にも利用していました。バスやトイレは共有ですし、そこまで広さもない。でも、余計なものがなくて、朝ご飯が美味しい。京都の繁華街からも少し離れていて、街並みの落ち着いた雰囲気もいい。1週間も滞在していると、「泊まる」というより「住んでいる」感じを味わえるというか。そして、ギャラリーや美術館とは違って、アートをわざわざ観ようとするのではなく、なんとなく目に入ってくる。すぐそばにある。「アートがある生活」って言っちゃうと急に軽くなっちゃうし、言葉にできないのでぜひ経験してほしいんですけど、そういう稀有な体験ができる旅館・ホテルです。
KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
京都府京都市中京区壬生馬場町37-3
http://kumagusuku.info
水野祐(みずの・たすく)
弁護士(シティライツ法律事務所)。Arts and Law理事。Creative Commons Japan理事。IT・クリエイティブ・まちづくり分野に特化したリーガルサービスを提供している。著作に『法のデザイン −創造性とイノベーションは法によって加速する』(フィルムアート社)など。英国ドラマ『ライン・オブ・デューティ』知っていますか? おもしろいですよ。
Twitter:@TasukuMizuno 
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