Culture  

ブラックホール撮影に貢献した若き女性科学者、ケイティ・バウマン

share

20194月、世界はかつて目にすることは不可能だと考えられていた画像を目撃することになりました。

 

ブラックホールが初めて可視化されたことで、宇宙の大いなる謎の一つに対する私たちの認識は大転換を迎えることになるでしょう。そしてその撮影を可能にする助けとなった重要なアルゴリズムを開発した女性は、わずか29歳でした。

 

3年前、ケイティ・バウマンはマサチューセッツ工科大学(MIT)でコンピュータ科学と人工知能を研究する博士課程の学生でしたが、彼女は当時から、のちにブラックホール撮影へと導くアルゴリズムの開発を指揮していました。その超大質量ブラックホールは、地球から5500万光年離れた銀河「M87」の中央に位置しており、今回史上初めて撮影されることになりました。

 

バウマンはこの飛躍的進歩に貢献した200人の研究者チームの一員でしたが、今年の4月、自分のコンピュータスクリーン上に現れたブラックホールの画像を見て、満面の笑みを浮かべる誇らしげなバウマンの写真がネット上を駆け巡りました。かつて、女性の科学者や研究者の業績はしばしば歴史の陰に隠されてきましたが、この写真によって、今回の発見にバウマンの貢献が不可欠であったことを多くの人々が確信することになったのです。

 

ブラックホールの画像は、南極大陸、スペイン、そしてチリなど世界各地に設置された8つの電波望遠鏡の連携で実現した国際協力プロジェクト、イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)が集積した観測データを統合することにより作成されました。バウマンが本プロジェクトに参加した6年前、彼女はまだ23歳の若手研究者でした。そこでバウマンは、EHTが集めた膨大な天文学データを一つの明瞭な画像へと構成するアルゴリズムの開発を担っていました。

 

バウマンの専門はコンピュータサイエンスおよび電気工学で、天文物理学ではありませんでしたが、彼女が率いるチームは3年に渡り画像を生成するコードの開発を任されていました。アルゴリズムの開発後、バウマンは数十名のEHT研究者たちと共同でさらに2年をかけて開発とテストを繰り返し、ブラックホールの画像化に取り組んできました。そして昨年6月、望遠鏡からのデータがすべて送られてくると、バウマンと少人数の研究者チームはハーバード大学の狭い研究室に集まり、開発したアルゴリズムを正確に打ち込んだのです。

 

そしてボタンをたった一つ押しただけで、バウマンのコンピュータスクリーン上には、ぼやけたリング上のオレンジ色の画像が現れました。それこそが超大質量ブラックホールが史上初めて撮影された画像であり、天文学における歴史的な偉業が達成された瞬間だったのです。バウマンはソーシャルメディアの投稿で、ブラックホールの画像化を可能にしたのは多くの人の協力と努力があったからだと強調しています。

 

「この画像を生み出したのは、たった一つのアルゴリズムでも、たった一人の人間でもありません。世界中から集まった科学者チームの素晴らしい才能と、さまざまな装置やデータ処理、画像化手法、そして分析技術の開発に人々が費やしてきた何年もの努力があったからこそ、この一見不可能に思えた功績が実現したのです」とバウマンは語っています。ブラックホールの画像は昨年6月に発見されましたが、今年の410日に研究者チーム200人全員が世界に向けて公開しました。

 

バウマンは現在MITの博士研究員ですが、今後はカリフォルニア工科大で助教授のポストに就くことが決まっています。また、この先もEHTとの協力は続ける予定だそうです。

 

2016年に登壇したTEDトークで、バウマンは「皆さんにも外に出て、科学の限界を広げるのを手伝っていただきたいのです。たとえそれらが、ブラックホールのようにまったく不可思議に思えたとしても」と語っています。

 

 

この記事は、The GuardianのHannah Ellis-Petersenが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、legal@newscred.comにお願いいたします。

share