Culture  

連載 CREATOR'S EYE 第7回
蓮沼執太と「お茶」の意外な関係

“いま”の時代や文化をつくる人たちが、出会えてよかったモノ・コトを発信するコラム「CREATOR'S EYE」。今回アーティストの蓮沼執太さんがオススメするのが「お茶」。今まで嗜んできたさまざまなお茶との思い出や出会いを伝えます。
share

日常に寄り添う、お茶の魅力

僕のおばあちゃんは大の日本茶好きで、小さい頃から毎日の生活の中にお茶がありました。高校生くらいになってくると、コーヒーの美味しさもわかるようになってきて、お茶を飲む機会が減りました。ですが大人になり、現在のように毎日スタジオでの制作などをしているとお茶をいただくことがまた多くなってきました。

 

 

蒸し暑い夏でも、芯から冷える真冬でもお茶は活躍します。例えば、外食をしていると食事とお茶の組み合わせを観察するのがとても面白くて。東京ならば蕎麦屋さんが出してくれるそば茶、寿司屋さんのあがり、ヴィーガン料理屋さんでのハーブティー、韓国料理屋さんはコーン茶などなど。ニューヨークで気に入っている飲茶店では、ジャスミン茶を出してくれるのですが、黒いプーアル茶を出してくれるお店もあります。お茶のポットの蓋を傾げておくのが「おかわりください」という合図なのですが、熱々のお茶にも関わらず、グビグビと飲んでしまい、すぐにおかわりをしてしまいます。

 

 

僕の尊敬する音楽家・一柳慧さんの著書の中に、「夜はお酒ではなくほうじ茶を飲みながら夫婦で会話する」という一文があります。一日を締めくくる素敵な習慣ですよね。お茶の役割は人それぞれ違っていて、ただ美味しい飲み物、というだけではなく体や心を整える効果もあるのではないでしょうか。僕の場合はやはり、作品づくりの時に自然と入り込んでいるのがお茶です。

 

 

まずは、制作する前にたっぷりとお茶を入れて、気合いを入れつつ、心身をほぐすようにいただきます。煎れるお茶はその時の気分で変えていますが、少し刺激が強いものが好み。ずっと制作をしていると、アイデアも凝り固まってくるので休憩とともにお茶を。そういう時はハーブティーなど気分をリラックスしてくれそうな、少し草っぽいオーガニックなお茶をいただきます。とはいえコーヒーも好きなので、お茶とコーヒーは毎日お互いに登場の機会を伺っています。

 

 

特に好きなのはお茶好きの祖母がお裾分けしてくれる緑茶(福岡の八女茶つゆひかりなど)と、アメリカのスーパーで出会ったCELESTIALのレモンジンジャー(写真左)。気分転換の時にいただいています。これはレモンの絵が描かれた黄色いパッケージなのだけれど淹れると赤いんです。日本では輸入食材屋で気軽に買え、ハイビスカスやローズヒップ、 ジンジャーなどの酸味のあるハーブティーです。コーヒーも同じなんですが、毎日いただくものは気軽に手に入ることが大切だと思っています。

 

 

また、ちょっと好みが分かれそうですが、スモーキーな中国紅茶LAPSANG SOUCHONG(写真右)もちょっと癖になる味。寝る前に最適だったのが、南仏から持ち帰ったAraquellのセレニティ(写真中央)という名前のお茶。こだわりオーガニックのエルダーフラワーやローズ、ラベンダーが細かく砕かれてティーバッグに入っていて、淹れるとふわっと爽やかで優しい香り。少し黄色いお茶で、見た目からして優しさが伝わります。

 

 

旅先などでもやっぱり珍しいお茶に出会うと手が出てしまいます(笑)。未知のお茶をお土産として買うのも恒例で、栃木県日光のお土産屋さんで手にしたのは、ゴツゴツした枝が詰められた袋の「目薬の木」というお茶。鍋で煎じてみると薄紫色で驚きました。味はスーッとして意外にも飲みやすい。他にも、道の駅で木をスライスしたようなお茶を買ってみたらカビていた!なんて失敗をすることもあるんですけど、変わったお茶や意外な組み合わせのハーブティーに出会うと試したくなりますよね。ジャカルタで購入したライチ紅茶はまだ未開封だったりします。

 

 

そんなこんなで、僕の家のお茶の棚はいつも賑やかで楽しいです。

蓮沼執太(はすぬま・しゅうた)
Profile/1983年、東京都生まれ。国内外でのコンサート公演をはじめ、映画、演劇、ダンスなど、多数の音楽制作をする。主な個展に『 ~ ing』など。第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
http://www.shutahasunuma.com/
Text by HASUNUMA Shuta
Edit by KAN Mine, TAJIRI Keisuke
share