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大人になったからこそ楽しめる「ティーン映画」の魅力

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まず、みなさんに告白したいことがあります。私はノスタルジックな思いに浸るのが大好きで、青春時代を描いたティーン映画を観たい気持ちにしょっちゅう駆り立てられてしまうのです。若かった頃に観たもののうち、私が最も「大人っぽい」と思っていたティーン映画は『セイブ・ザ・ラストダンス』ですが、これは大人になってからも何度も観たいと思う1本です。この作品は、未熟だった私が受け入れられる以上の「愛」について教えてくれましたし、まだあの時代には残っていた、異人種間カップルの葛藤について知るきっかけにもなりました。それに、私はかっこいいダンスのリハーサルシーンが出てくる映画がとにかく好きなのです。

 

『クルーレス』や『恋のからさわぎ』、『ミーン・ガールズ』、それから『チアーズ!』も、公開からすでに10年以上経っていますが、私の定番映画リストにしっかり名前を連ねています。初めて観た時には、自分の青春とはずいぶん違う次元の話だと思っていたのですが、今改めて観てみると、これらの映画はミレニアル世代のカルチャー精神をちゃんと捉えていることに気づきました。こうして、私は昔のティーン映画を「卒業」しないまま今に至るわけですが、きっとそういう人は他にもたくさんいるのではないでしょうか。では、近年公開されたばかりのティーン映画についてはどうかと言えば、たとえ自分より下の世代の若者たちをターゲットに作られたとわかっていても、やはり観たくてたまらない気持ちになります(『ブックスマート』や『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』、『サン・イズ・オールソー・ア・スター 引き寄せられる2人』、それから『シー・ユー・イエスタデイ』、『パーフェクト・デート』はぜひウォッチリストに入れてくださいね!)。おかしなことと思われるかもしれませんが、それにはきっと理由があるはずなのです。

 

ティーン映画に対するこうした思いは、私だけに限られたものではありません。同僚たちにこの話をすると、みんな「わかるわかる」というように頷いてくれますし、私のルームメイトたちも、二日酔いの日曜日には必ずといっていいほど、リビングでロマコメ映画を流しています。Netflixに目を向けてみれば、オリジナルシリーズの『セックス・エデュケーション』が思いがけず世界中で大ヒットし、オリジナル映画『好きだった君へのラブレター』も2018年の夏に公開されるやいなや、名だたる大作を抑えて視聴率上位に躍り出ました。そしてそれを受け、ソーシャルメディアは現在、ティーンロマンス業界への投資に熱を上げている状況です。でも、私たちはなぜティーンの物語に夢中になってしまうのでしょうか?

 

というのも、こうしたティーン映画のプロットは、簡単に予測できてしまうようなものばかりなのです。たとえば「頭の良い女の子が学校の人気者と恋に落ちる」というストーリーはこれまでに何度も繰り返されてきましたし、地味な子が「イメチェン」しようとして失敗するというテーマも未だに廃れていません。また、アメリカのハイスクールやカレッジ生活に憧れを抱く人は確かに多いと思いますが、年齢的な共通点はあるとはいえ、私のようにイギリスで教育を受けているなど、かなり異なる背景を持っている人もいるはずです。それに私たちの大半は20代になった途端、まるで過去の経験をドアから締め出すかのように、嬉々として青春時代に別れを告げてしまうものです。過去を振り返るのは、Facebookに「過去のこの日」を表示された時くらいでしょう。それなのに、いったいどうして、私たちは再びあの青春の日々を生き直そうとするかのように、ティーン映画にはまってしまうのでしょうか。

 

テレビ心理学者のハニー・ランカスター=ジェームズは、それには理由があると話しています。「私たちがエンターテイメントを必要としている理由の1つに、自分の複雑な感情を理解するきっかけを得られるという点があります」とランカスター=ジェームズは言います。「たとえば、人はなぜ、わざわざ恐怖を感じてまでホラー映画を観たいと思うのでしょうか? それは、恐怖という感情を実際には安全な場所にいながらにして体験することができる、という保証があるからだと思います。そしてそれは、ティーン映画に対しても同じことが言えるのではないでしょうか。映画の登場人物に共感することで、私たちは自分が過去に抱いたことがあるような、やっかいな感情を体験することができます。しかし現実では私たちはすでに成長し、より成熟した視点を持っているのです。ですから映画を通じて、以前はただ持て余してばかりだった感情を克服し、当時の日々をより客観的な視点で、深く振り返ることができる可能性があると考えられるのです」。

 

そう聞いて、私ははっとしました。あまりにもその通りだったからです。私たちは映画を観ているだけで、世界がなんであるかを学びとり、自分たちのカルチャーや自分以外の人たちのことまで、知らず知らずのうちに詳しくなっていきます。そう考えると、たとえばカフェテリアでの意地悪や、テスト勉強によるストレス、それから放課後のデートといったシーンを見るたびに、青春時代を追体験することができるでしょうし、ともすれば自分の都合の良いように思い出を書き変えることもあるかもしれません。確かにオリヴィア・ワイルド監督のデビュー作『ブックスマート』に対する反応を見てみると、典型的な10代の女の子たちを描いたこれまでの映画に疎外感を感じていたような、生真面目なタイプの女性たちの心にも、何かしら訴えかけるものを持っていることがわかります。

 

しかし感情的なレベルに関して言えば、そこまで深い理由はないと考える人もいます。ニューカッスル大学の心理学者ジョアン・ハーヴェイ博士は、そうした映画におけるノスタルジックな要素は、確かに「少しは過去を追体験させる」可能性があることを認めています。そして、それはまったく悪いことではないと言います。しかし大人がティーン映画に夢中になるといった状況は、現在の大衆文化による誘導だと考えることもできるそうなのです。「数年前と比べて、このようなストーリーをもっと大人が楽しむようになったというのは事実だと思います」と博士は説明しています。「ティーン向けのエンターテイメントを観て、それを好きだと公言することは、以前よりファッショナブルなことになっています。たとえば、大人になってから『ハリー・ポッター』を読み返すことが、おしゃれだと思われるようになったのです。10年前だったら、そうはいかなかったはずです。たとえティーン映画が好きだったとしても、人には言わず、こっそり観ていたという人も多いのではないでしょうか」。

 

また、現在エンターテイメント業界は飽和状態にあります。新作映画や小説の大半がZ世代(1990年代後半〜2000年代初め生まれ)をターゲットに作られていることを考えると、それより上の世代の私たちが、AmazonブックスやNetflixの新作をチェックするたびに、ヤングアダルト向けの作品を目にすることになるのは当然かもしれません。しかし、理由はそれだけではありません。「このようにたくさん選択肢があるなかで、次々におすすめが表示され、観るべき作品を押し付けられるのを好まない人もいるでしょう」とハーヴェイ博士は話しています。「特におすすめされた作品が、どこか小難しく、偉そうに見えたとしたらなおさらです。人々がティーン映画にはまるのは、ノスタルジックな感情を抱くことができるからだけでなく、そうした作品が、自分にとって身近に感じるシンプルなメッセージを伝えているからだと考えることもできるのです」。

 

作品に対する親しみやすさという観点で考えてみれば、「成熟した大人のための映画」よりも、ティーン映画の方がより身近に感じ、楽しめるのは確かだと思います。すでに青春時代を通過してきた私たちにとっては、そこで描かれている内容を予測することは難しくありません。たとえその時代がどんなに過酷なものであっても、私たちはそれらを乗り越え、こうして生きているのです。大人になっていくということは、予測できない数々のシナリオに、否応なしに立ち向かうことでもあります。その一方、まだ18歳のカップルが恋に落ち、高校を卒業し、激しい混乱の日々を駆け抜けていくといったティーンの物語は、ただのんびりソファに座り、難しいことを考えずに映画を楽しむための時間を私たちに与えてくれます。そう、私たちはあの時代をくぐり抜けてきたからこそ、穏やかな気持ちでティーン映画を楽しめるようになったのです。

 

 

この記事は、Refinery29のJazmin Kopotshaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、legal@newscred.comにお願いいたします。

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