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誰も排除しないファッションを Z世代の女性起業家の夢

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現在、Z世代(1990年代後半〜2000年代初め生まれ)の女性たちが新しい未来を築き始めています。彼女たちは現状に立ち向かい、社会運動の原動力となり、自らの才能を臆せずに発揮して、大きな目標を達成するために動いています。そのうちの1人、22歳の起業家タチアナ・グローヴァーは、自分が愛するファッションというメディアを通じて、インクルーシビティ(排他的になるのではなく、社会の誰もが参加できることを表す言葉)をめぐる対話を育むことに邁進しています。

 

タチアナ・グローヴァーは何よりも服が好きだと言います。といっても、ただ物質としての衣服だけではありません。服を着ることで生まれる感情や対話、そしてそれらに込められた人の思い出こそ、彼女の興味を引くものなのです。大学の卒業論文では、おしゃれ上手な自分の身近な女性たちの歴史を紐解くことに、すべてのページを捧げたそうです。このように服と人の生き方との関係を考察していくなかで、彼女のファッションへの想いはますます募っていきました。現在、グローヴァーは自らのブランド「Mahogany」をWEB上で立ち上げ、ファッションを通じて対話を培うことを目標に活動しています。

 

「Mahoganyを始めたのは大学生の頃と言ってはいますが、実際には、高校時代からすでにスタートしていました」とグローヴァーは話しています。「すべては思いつきから始まりました。当時の私は、一般の小売店で服を買うことに不満を覚えていました。というのも、そうした店では、自分の身体に合うプラスサイズの服がなかなか見つからなかったからです。そうした経験があったことで、まず、すべてのサイズの服を集めたいと思うようになり、それが後のオンラインストアに繋がっていったのです。最初はイベントやポップアップストアで販売をスタートし、そこからビジネスが広がっていきました」。

 

グローヴァーが感じていたように、残念ながらファッション業界では、サイズにおけるインクルーシビティは未だに実現されていない状況です。グローヴァーと同じような経験を持つ女性は多く、ファッションブランドがそうしたメッセージを発信するだけではなく、実際にインクルーシビティの実現に向けた行動を取ることが求められています。Mahoganyはそれを実現したブランドの1つです。手ごろな価格の古着の収集や、有色人種の女性たちをエンパワーすることを目的とした公開討論会を主催するだけでなく、自分たちのアイディアを広めるために同業者に助言を求めるなど、グローヴァーは自らの専門性を駆使し、できる限り多様な分野の仕事に取り組んでいます。また、彼女はインクルーシビティがそもそもなぜ大事なのか、周りの人々と語り合うきっかけを常に作り出そうともしています。グローヴァーはそれらすべての活動を、見事にバランスを取りながら実践しているのです。

 

「『インクルーシビティ』という言葉は、今ではずいぶん話題に上がるようになったと思います。しかし私にとってインクルーシビティとは、表舞台ではないところで何かをしようとする時、必ず意思を持って決断することを意味しているのです。そうして下した決断が、自分が作り出す空間にちゃんと反映されることが大切だと感じています」とグローヴァーは説明しています。「たとえ人に見られてはいなくても、そこで起こした自分たちの行動が、きちんと現実に反映され、変化をもたらしていくということに興味があるのです。そして私は、ファッションを通じてその変化の一端になりたいと思っています」。

 

グローヴァーは現在、人々の着こなしやその理由など、ファッションにまつわる個人的なストーリーに注目していると言います。トレンドや買い物スポットについての話題ではなく、彼女は知的な好奇心に突き動かされ、ファッションの背景を理解することに情熱を抱いているのです。また、グローヴァーは「古いものと新しいものを結びつける」ことに興味があるとも話しています。異なる世代の人々にとって共通の基盤となるような、何かしらの道を見出したいと考えているそうです。異世代間を行き来するうちに、グローヴァーは上の世代の人たちと若者たち、両方に通じる言葉を話すことを学ぶようになったと言います。このようにユニークな責任を自ら負うなかで、彼女はビジネスにおけるバランスの取り方を戦略的に学んでいきました。

 

「きっと誰もが、成長する上で自分の身近にあった服について、人に語りたくなるような文化的なストーリーを持っていると思うのです。それが両親やきょうだいのもので、自分が着ていた服ではなかったとしてもです。人と服には非常に興味深い関係があり、思い出のよすがになることもあります。私はまた、過去がこの先の未来をどのように予測できるのかを、いつも考え続けています。異なる世代の間には、対話の不足による溝が生じています。私は服を通じて、そうした溝を埋めていきたいのです」。

 

自分より上の世代と対話しようとする時、年齢による差別意識を感じたり、必ずしも正確とは言えない互いへの先入観を払拭しようと、努力する必要が出てきます。たとえそれが無意識であろうと、偏見を持つことから免れられる人はなかなかいないからです。そして人は相手を判断する際に、その人の服装を基準にしていることが多いと思われます。他者との確かな関係性を築き、ブランドにおけるインクルーシビティを確立すること。その両方を成立させるためには、人々が持つこうした先入観を改善していく方法を見つける必要があると、グローヴァーは考えています。

 

「人は、自分が目にしたものに応じて、相手がどのような人間かをイメージします」とグローヴァーは説明しています。「たとえば、『君はとても若いから、自分が話していることを、自分でも理解できていないのだろう』と言われたり、年齢による差別を受けることがあります。そしてまさにそこでは、ファッションを通じた駆け引きが行われているのです。つまり、人は私の姿や服装、喋り方などから、私がどんな人間なのかを判断するものなのです」。

 

グローヴァーは、様々な背景を持った人たちや、いくつもの業種の人々との対話に大きく時間を割いていますが、1人で過ごす時間も大切にしています。具体的には、メモ帳から離れ、ヨガを楽しみ、1人で映画館に足を運ぶようにしているそうです。また、アファメーション(自分自身に対する肯定的な宣言)をしたり、毎朝鏡に向かって自分に励ましの言葉をかけているとも言います。ようやく自分自身を見出し、向かうべき道に気付き始めた彼女にとって、こうしたささやかなセルフケアの習慣は欠かせないものなのです。

 

「落ち着いて集中するためには、自分自身と向き合うことが必要です。でも、それはなかなか難しいことでもあります。ソーシャルメディアを開くと、他の人がしていることをつい羨ましく思ってしまうこともあるでしょう。けれど、今はただ『私にもいつかその日が来る』と言い聞かせるようにしています。私はもう、スマートフォンをスクロールしながら、自分ではない誰かになりたいと願ったりはしません。そんな日々もありましたが、私は自分自身でいることを、心地いいと思うことができるようになったのです」。

 

グローヴァーがファッションとメディアに興味を持つようになったのには、実は家族の影響があります。彼女の身近な女性たちは、自分自身のルールを持ち、それに寄り添った着こなしや生き方をしてきたと言います。彼女たちは、自分たちの物語には価値があると、胸を張って生きてきたのです。グローヴァーがこのように高い自己肯定感を持っているのは、その血筋ゆえなのかもしれません。

 

「うちの家系は女性の力が強く、私はたくましい黒人女性たちに育てられてきました。つつましい生活でしたが、彼女たちは、自分が持っているものにきちんと価値を見出しながら生活してきたのです。それはとても素晴らしいことですし、私は彼女たちのそうした生き方を継承したいと思っています」。

 

 

この記事はRefinery29のHeather Hazzanが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、legal@newscred.comにお願いいたします。

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