Culture  

連載 CREATOR'S EYE 第16回
音楽家・山崎ゆかりのまなざしがとらえる「ドキュメンタリー」な瞬間

“いま”の時代や文化をつくる人たちが、出会えてよかったモノ・コトを発信するコラム「CREATOR'S EYE」。今回は、日々の暮らしにおける何気ない瞬間を切り取り作品にする音楽グループ「空気公団」代表の山崎ゆかりさんが登場します。ドキュメンタリーという言葉で、不意に訪れる「心を動かされる瞬間」を表現する山崎さん。彼女のまなざしはどのようにして、日常生活に美しさを見出しているのでしょうか。
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街を歩いていると、季節ごとに咲く花や、変わる雲、におい、風。
とても気になるようになったのは、そこにヒントがあると思うからだ。
というのも、私が作る音楽は暮らしのなかから生まれている。
人の手で表現されたものよりむしろ、偶然か必然かそこにあった、そこで起こった出来事へと、私は自分のカメラを向けているのだ。
小学生の時、学級新聞部でインタビュー記事を担当していた。
「どうしてこの仕事をしているのでしょうか。この仕事の楽しさとつらさを教えてください」。そんな質問を、ケーキ屋さん、清掃車のおじさん、道案内している警備員さん、様々な人に聞いた。
そのなかでも、「何でかわからないよ」と言われたのがとくに印象的だった。
自分は何で生きているのか、常に疑問だった。
何のために生きているのか、一度考え始めてしまうと、大好きな絵本を読んでも身が入らなかった。
そんな時あることに気づいた。「今日はもう二度とないんだ。」
それを知った私は、毎日の朝をラジカセで録音するようになる。
この時間にもう会えないと知ってしまった。
見えている風景もその日限りのもので、この先どうやっても見ることは出来ない。
このなかに、生きる、伝えるヒントが沢山あるんだと同時に思った。
たとえば空気公団に『君は光の中に住んでいる』という曲がある。
人の死に直面した時思った、その人は心のなかでずっと生き続けていくのではないか。
光となって「僕」を照らしてくれるのではないか。
世に溢れる無数の光に私たちは導かれているのかもしれない。
どうしてドキュメンタリーが好きなのか考えてみる。
それは、自分の存在理由が知りたいからじゃないかな。
子供のころの私に、そう言ってみたい。
山崎ゆかり(やまざき・ゆかり)
Profile/青森県出身。音楽グループ「空気公団」代表。作詞、作曲、歌、アレンジを担当。『僕の心に街ができて』『ダブル』『こんにちは、はじまり』など多数の音楽作品をリリース。絵本作品には、絵本作家・荒井良二との共作『トントンドア』がある。また、近年は他アーティストへの楽曲提供や音楽プロデュース、CM音楽制作、ナレーションなども行う。2019 年、自身初となるソロアルバム『風の中にうたう』をリリース。そして同年、吉野友加(tico moon)、中川理沙(ザ・なつやすみバンド)と新たに結成した音楽グループ「ユカリサ」としても活動スタート。2020年4月、ユカリサの1stアルバム『WATER』をリリース。

空気公団 / 山崎ゆかり
http://www.kukikodan.com/

ユカリサ
http://yukarisa.com/
Photo by Kris Kang
Text by YAMAZAKI Yukari
Edit by NARAHARA Hayato
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