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メークアップ・ルーティンが私たちに与えてくれるもの

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生活習慣の素晴らしいところは、それをすっかり自分のものにすることで、深く考えなくても実行できるようになることだと思います。儀式的に毎日行うことで、安心感や親しみが湧き、そこに救いを見出す気持ちにもなれます。また、習慣とは人それぞれの個性に応じて作られていくもの。ですからいっそう特別なものに感じられるのでしょう。女性の習慣のなかで最もパーソナルと言えるのは、毎日のメークアップ・ルーティンではないでしょうか。人はメークを通じて自分を表現し、周りの人たちからどのように見られたいかというイメージを作っていくのです。

 

それにもかかわらず、毎日のビューティー習慣は、ともすればささやかなものとして見過ごされることもあります。そこでアメリカの百貨店チェーンTarget のビューティー部門と、メークアップアーティストのジャリーサ・ジェイカランの協力のもと、ケイトリン・ホン、レヴァ・バート、ハンナ・ウォルデサディックの3名にインタビューし、毎日のメークアップ・ルーティンがどれほど彼女たちに力を与えてくれているか聞いてみることにしました。彼女たちの常識に捉われないスタイルにどきっとさせられる人もいるかもしれません。しかし彼女たちにとって、こうしたメークは自分自身への誇りと自信、そしてパワーの源になっているのです。3人とも、自分にとって本物だと感じられるスタイルに正直でいたいと話しています。このように、美に対して果敢にチャレンジする彼女たちをご紹介できることをうれしく思います。アイメークやリップなど、彼女たちの美しさを映し出すメークを参考にしつつ、美容が与えてくれるパワーやそれぞれの習慣の変化、インスピレーション源について語るインタビューをお楽しみください。

 

 

ケイトリン(写真右。コンピュータサイエンス専攻の学生、アマチュアメークアップアーティスト)

 

私はカリフォルニア州オークランドで育ちましたが、大学入学にともない東海岸に引っ越してきました。自分のクリエイティビティを開花させたいと思ったからです。もっと自分を掘り下げる必要を感じていた時、アーティスティックなメークと出会いました。

 

自分のメークのここが好き:二面性が感じられるところでしょうか。豊かな唇を柔らかく親しげに見せつつ、グラフィックアートっぽい感じも残しています。アイラインもグラフィックアートのように引くことで、エッジーな気分になれます。

 

毎日の習慣:最近眉毛をブリーチしたので、形を自由に描くことができるようになりました。とっても楽しいです。今はピンクのペンシルで描くことにはまっています。アイラインは細く跳ね上げて引くのですが、縁にキラキラ模様を描いたりすることもあります。そこまでで、だいたい20分から30分ほど。長い時間をかけずに、自分らしさを表現できて楽しいです。

 

人の反応:しょっちゅう話しかけられますよ。目の周りに描いたアートはタトゥーですか? と聞かれることもあります。実際には手で描いただけですが、本物のタトゥーに見えるのはうれしいですね。私の通っている大学はわりと保守的なのですが、好意的に思ってくれる人もいれば、「どうしてそんなことに時間を使うの?」というようなコメントをする人もいます。その場合には、まったく気にしないようにしています。これは私の顔なの! って。

 

時間があったらしたいこと:中国の伝統絵画に見られるような、水の流れのモチーフを描いてみたいと思っています。いまはアイラインに角度をつけて、トライバル模様を試すこともしています。どの程度凝るかによって時間は変わってきそうですが、顔全体に施すなら、3時間ほどメークに時間をかけてもいいと思っています。事前に練習はしません。その場で思いつくままに描いていくんです。様々な色を使って試してみたこともありますが、そんな時には長い時間が必要になりますね。以前、花びらを使ってみたこともあります。眉毛の上に花びらを貼り付け、周囲がなじむように色を乗せていくんです。その時はずいぶん時間がかかりました。

 

インスピレーション源:自分が受け継いでいる文化や伝統でしょうか。私が使う色や形、特に赤い色などは、台湾や中国の伝統工芸の影響を受けています。祖母にもらった印鑑があるのですが、それを顔に押してみたこともあります。私の名前が彫られていて、赤の朱肉がついているんです。漢字を顔に描くなどもします。そして自然からもインスピレーションを得ています。花びらや、友人が家の近くで見つけた蝶の羽を使ったこともあります。羽に透明のネイルポリッシュを塗り、顔に貼り付けて周りに羽を模した絵を描きました。

 

メークを始めた時期:12歳の時、インターネットでメークのレッスン動画を見たことがきっかけでした。人と違うことをし始めたのは大学に入学してからです。人と違うことをしていると、幸せな気持ちになるんです。小さい頃から絵を描くことが好きだったので、描く場所が自分自身になったのも自然な流れだと思います。メークもだんだんと大胆になっていきました。すごく気に入っていますし、私の人生にとって重要なことなのです。

 

メークが与えてくれるパワー: 元気が出ない時や、自信がない時、メークをすることで気持ちが明るくなるんです。朝の支度が私にとっての癒しの時間になっていて、気持ちが沈んでいる時にも、朝にメークの時間を取るだけでずいぶん楽になります。ですから、1日のうちで最も大切な時間のひとつですね。私は自分の眉毛が大好きです。細くすることでパワフルな気持ちになれます。アイラインもですね。私のメークはシャープで尖ったラインを使うことが多いのですが、そうすることで自信が高まります。こうして鏡の前に座って、自分が誇れることに集中していれば、自然と気分も上がりますよね。思い描いていたメークをできた時は、特に最高の気持ちになります。

 

メークを通じて伝えたいこと:たとえ型破りだったとしても、私は自分に自信がある、ということでしょうか。社会が私に求めるイメージに縛られず、自分を表現することは大きな喜びです。メークを始めたいという人や、自己表現が苦手という人が、私を見た時にやってみたい、と思ってくれたらいいなと思います。特に社会になじめないと感じている人たちに、インスピレーションを与えられたらいいなと思っています。自分にとって身近だと思う文化やアートを通じた自己表現方法があるんだと、気づいて欲しいです。それは美しい行為だし、祝福されるべきことだと。私にとっても、大事なことなんです。

 

 

レヴァ(写真中央。プロダクト・マネージャー、フリーランス・スタイリスト、フリーランス・ディレクター、モデル)

 

私は自分のことをインド人、または南アジア人だと思っています。色や質感というものを大切にする文化のなかで育ちました。ですからいつも色には興味を惹かれています。

 

自分のメークのここが好き:正反対のものを併せ持っているところでしょうか。毎日自分で整えるヘアスタイルや、メークにそれが表れていると思います。たとえば髪は艶やかに、そしてナチュラルに流し、目元は長くキャットラインを引く、というように。どちらも私らしさを表しています。私が目指すメークとは、堂々と自分を表現しつつも落ち着きがある、「静かな嵐」が感じられるようなスタイルです。写真のメークには私の太陽星座の蠍座が反映されていて、ある時は「アセンダント(占星術における考え方のひとつ)」と月星座の獅子座らしさを出すこともあります。どちらも同じように強烈ですが、それぞれの個性があると思います。

 

毎日の習慣: 5分ほどで仕上がる、ほぼすっぴんに見えるメークをする時もあれば、30分から40分かけて、大胆でドラマティックなメークをすることもあります。その中間ということはほとんどないですね。大胆なメークは、私の気持ちを表現するものです。よく使うのは、ブルーなどのカラフルなアイライナーに、ブルーのマスカラ。顔には何も塗らず、目元に2色の鮮やかな色を置くことで、日常的なスタイルも華やかになります。目元に抽象的なアートを描くのも好きです。下まつげの中間あたりに三角や四角、ドットを描いたりします。完璧に仕上げることが目的ではなく、実験するみたいに色々楽しむことがポイントです。

 

スタイル遍歴:メーク人生の大半を黒い跳ね上げアイラインで過ごしてきたので、ラインを引くのは上手になりました。跳ね上げラインさえマスターすれば、基本的には何でもできるようになると思います。昔は黒ずくめの、中性的なシルエットの服ばかり着ていたのですが、2016年から色やパターン、質感のある服を選ぶようになりました。その時にクリエイティブな道へ進むことになったのです。同時にメークもカラフルになりました。今は黒いアイライナーだけのメークはしませんし、よっぽどのことがない限り、黒ずくめの服も着ません。

 

人の反応:人に話しかけられた時、 内にこもりがちな蠍座らしい自分が出てくると、とまどってどうしていいかわからなくなってしまいます。ですがアセンダントが目立ちたがりな獅子座の面もあるので、ドラマティックで大胆に着飾ることは大好きなんです。人からコメントをもらうことはよくありますが、「素敵なメークだね。でも私にはできないな」と言う人もいます。でもそうしたコメントは、自分自身に誠実じゃない気もしてしまいます。というのも、それが自分にとってしっくりくるものであれば、どんなメークをしたって良いのですから。素敵だと思ったら、まずは試してみてほしいです。そうすれば意外と似合っていると感じるかもしれません。

 

インスピレーション源:すべてのものがインスピレーションになります。1日中いろんなコンテンツを見て過ごしていますが、自分に響くものがあったら保存します。参考になるイメージをコレクションしているんです。インスタグラムでは、実験的なメークアップアーティストを何人もフォローしています。色の見方については、自分の文化に大きな影響を受けていると思います。インド人としての私は、強めのコントラストに惹かれますし、色の理論にも興味があります。インドの「ボリウッド映画」を観て、カラフルな生地を身につけて育ちました。インドの文化には色が欠かせません。アートや絵画などのデザインや構造にも魅力を感じています。自分を表現するにあたって、デザイン性と色は欠かせない要素になっています。

 

自分のルーティンのここが好き:完璧に仕上げようとするのではなく、実験的なプロセスを楽しむことで、元気になれる気がします。朝に身支度を整える時間がとても好きです。特に最高の仕上がりになった時には。とはいえ、やはりメークをしている最中のほうが楽しいですね。プロセスこそ、自分の気持ちを高めてくれるものだと思います。

 

メークが与えてくれるパワー:私が自分自身を見つめるイメージのまま、世界が私を見る。そんな風に自分を表現できるところでしょうか。しかもそこには言葉はいらないのです。そうしたことから、私はパワーを得ていると思います。

 

メークを通じて伝えたいこと: 社会はいつも人をひとつの箱に収めようとしているようです。ですが様々なメークを試してみることで、私たちはなりたい自分に好きなようになれるのだと、気づくことができます。ポップで楽しいメークや女性的なメークを楽しみたい日もあれば、中性的でダークなメークを楽しみたい日だってあります。そうしたことを楽しむ私を、誰も止められません。私は毎日、現状維持にとらわれない生き方をしたいと思っています。毎朝のメーク習慣といったシンプルなことにも、それが活かされていると思います。

 

 

ハンナ(写真左。モデル、アーティスト)

 

私はサウスキャロライナとノースキャロライナで生まれ育ちましたが、家族はエチオピア出身です。大学2年になる19歳のころからモデルをしています。

 

自分のメークのここが好き:いつもは濃いめのリップにして、顔は全体的にミニマルに仕上げています。でも、時にはクローゼットに並ぶ服に合わせてポップな色を選んだり、ダークなシェーディングを使ったりするのも好きです。

 

毎日の習慣:肌は艶っぽく、眉毛は太くナチュラルに仕上げて、唇はブラウンのライナーでくっきりラインを引き、それになじむプラム色か赤ワイン色で塗るのが好きです。眉毛はペンシルで左右対称になるように埋め、ジェルをつけたブラシで仕上げます。ブラシは最近使い始めたのですが、その変化は人に気づかれないくらい些細なものです。でも、私にとっては大きな変化です。

 

私のスタイル: 眉毛と唇にポイントを置いています。唇はダークブラウンのライナーでリップラインを引いて、透明のリップグロスを塗るのも好きです。口紅の色は、パープルを使うこともありますし、ドラマティックな効果を狙って、赤いリップにすることもあります。気分に合わせて、黒い口紅にパープルのアイカラーなんかもいいですね。実験的に、顔全体に濃いメークを施したこともあります。目元をクールなトーンで仕上げるなど、いまでもたまにそうしたフルメークをすることもあります。

 

メークがくれる自信:眉毛を整えない限り、自分だという感じがしません。リップグロスなしで外出することもしませんし、写真にも写りません。リップグロスなしじゃ生きられないですね。グロスのおかげで、自分のことをキュートだと感じられるんです。そうすることで、気分良くいることができます。

 

時間があったらしたいこと:遊びに行く時など、もっと強烈なメークを試すことができるかなと。何時間もかけていろんな色を試し、アイカラーを楽しんでみたいです。

 

メークを通じて伝えたいこと:私は私らしく、自分が感じるままに生きているということでしょうか。服も同じで、その場にはふさわしくないと思われる服装でも、自分の気持ちに正直に着るようにしています。すべてにおいて、私はそういう風に生きています。

 

インスピレーション源:SNSですね。メークで新しい試みをしている人たちをたくさんフォローしています。友人たちからもインスピレーションを得ています。私のルームメイトはメークアップアーティストで、いつも新しいことを思いついているんです。周りにはクリエイティブな人が多いので、影響を受けています。

 

 

この記事は、Refinery29のAndrea Chengが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、legal@newscred.comにお願いいたします。

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