Beauty  

〈美しさの秘密〉
第6回 モデル・高山都「力を入れすぎず、心地よい生き方で向き合う美しさ」

伝統や風習に縛られず、様々な分野で活躍する人々にフォーカスし、彼らの「美しさ」の秘密を掘り下げる本企画。第6回は、モデルや女優など多彩に活動する高山都さんが登場。料理やランニングを自然体でコツコツ続けるライフスタイルが注目を集めていますが、コロナ禍の自粛期間中に、これからの方向性に大きな気づきを得られたといいます。彼女が今後目指していく美しさとは。
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日々のルーティーンによって磨かれる、心と体のよい“めぐり”

-ご自身でつくるお料理や走ることなど、日々コツコツと積み重ねているライフスタイルが注目されている高山さん。毎日続けることが高山さんらしさにつながっている思いますが、ご自身ではどう感じていますか。
ランで言うと、もともと運動は得意じゃなくて。最初はとにかくウエアとシューズに着替えて、走らなくてもいいから1日30分外に出る、ということだけ決めて、歩いてもいいし、途中コンビニに寄ってもいい。そうやって毎日続けているうちに、走る距離が長くなっていきました。
昨日より少しでも長く走れたら「よし、私がんばった」と自分を褒めたり、一定期間続けられたらかわいいシューズやウエアをご褒美にしたり。そうやって続けていたら、5km、10kmと走ることができるようになり、ハーフマラソンやフルマラソンを完走して大きな自信にもなりました。そうやって10年くらい走り続けています。
-継続して取り組むことで新しい気づきはありましたか?
毎日走らなきゃと思うと負担になるので、月に100km走ることだけ決めていて、走る時間も自由。夏場は涼しくなった夕方に走ることが多いのですが、夕暮れに向かって空の色が変わっていく様子が綺麗で、そんなときは心が浄化されますね。
それに、走っていると普段は気づかないような発見もあります。あるとき、小さなお花屋さんがあるのを発見して、走っている途中だから小銭しか持っていなかったけど、思い切ってお店に入ってみたんです。
お花ももちろん素敵でしたが、店主の方が気さくで、その人柄に惹かれました。それをきっかけに通うようになって、今でもよくしていただいています。走っていなかったら、出会えなかったかもしれないですね。
-走ることは、高山さんの美しさにどのような影響を与えているでしょうか?
モヤモヤして行き詰まったときも、着替えて走ると頭と心が浄化されて、ゼロの状態に戻ることができます。汗をかくと体の調子もよくなるし、姿勢もよくなる。走ることで心身ともに“めぐりのいい人”になれる感覚があるんです。実は今でも走ることはそんなに好きじゃないんですが(笑)。やってみて悪かったことがひとつもないから続けられています。

自分を「ごきげん」にする料理というエッセンス

-高山さんのつくる料理は、盛り付けも含めて美しさを感じます。おいしいだけでなく、表現にもこだわるのはなぜでしょう?
「#みやれごはん」のハッシュタグをつけてInstagramにアップしている料理の投稿は、10年くらい前に自分の記録として始めました。「毎日アップするのは疲れませんか」と言われることも多いけど、綺麗なものが好きだから、どうせ写真を撮るなら綺麗に撮りたいし、たとえ誰にも見せないものでも料理の彩りや盛り付けが素敵だと気分が上がります。自分が綺麗だと感じることが幸せで、そう思えることが大事なんだと思います。
-器使いもとても素敵ですね。
器は本当に好きで、たくさん持っています。作家さんのものや旅先で買ったものなど、壊れてしまったらもう手に入らない器が多いのですが、好きで大切な器だからこそ、大事にしすぎて仕舞い込むのではなく、どんどん使うようにしています。それに、料理が面倒で丼ものなど一品だけですませる日のごはんも、素敵な器に盛ればごちそうみたいに感じられる。料理が苦手という人は、器づかいや見せ方から始めるのも料理が楽しくなる手段のひとつだと思います。
-こだわりを持ちながらも続けてきたいま、料理は高山さんにとってどのようなものになっていますか?
写真に撮ることを意識しすぎて、「おしゃれな料理を作らなきゃ」「品数を増やさなきゃ」と無理していたら、料理を作るだけで疲れてしまいますよね。私は「今日は疲れたから、簡単で体にもいい豆腐玄米丼だけにしよう」とか、「今日はいいことあったから料理も張り切って作ろう」というふうに、自分のコンディションやおいしいと感じる幸せを優先しています。料理はSNSの向こうにいる人のためではなく、自分の機嫌をとるために作るものだと思うんです。味や栄養のバランスはもちろんだけれど、料理って一生続けるものだから、“がんばりすぎない”ことも大事かなと。

挫折のたびに、ゆるぎない私へ

-コロナ禍での緊急事態宣言期間中には「みやこの台所から」と題して、ごはん作りのライブ配信をされていました。初めての試みだったと思いますが、なぜあのタイミングでやってみようと思ったのでしょうか?
あの時期は楽しみにしていたお仕事がなくなってしまったり、お仕事の仲間やエンタメ業界、飲食業の友人たちも、みんな特に大変な状況でした。沈んだ空気が漂うなかで、何か楽しいことをやってみようと思ったんです。批判を受ける不安もあったけれど、じっとしていても何も変わらないし、失敗してもいいからとにかく始めてみようと。
-思い切ってやってみたことで、新しい発見はありましたか?
私らしいかなと思ってビールを飲みながら料理したんですが、予想以上にそのゆるさがいいと言ってくれる人が多くて。あと、インスタライブって他の人と一緒にコラボ配信できる機能があるんですが、「コラボのリクエストボタン押していただけたら、みなさんとお繋ぎします!」って言って、はじめましての方々と一緒にライブ配信したのも楽しかったですね。ラジオ番組の生電話の感覚でした。インスタにコメントをくれる方たち同士でコミュニケーションが生まれていたのも嬉しかったですし、ライブ配信が次のお仕事につながるという嬉しい出来事もあったので、何事もまずやってみることは大切だなと実感しました。
-困難な状況でしたが、自分と向き合い、新しいことに挑戦する時間が増えたことで、ポジティブな変化を起こすチャンスも広がったように感じます。
これまでも、挫折のたびに強くなってこられたと思っていて。自粛期間中は辛いこともあったけど、自分が今後やりたいことについてのヒントがたくさんありました。
10代の頃からモデルをやってきましたが、モデルって求められたことを実現する受け身の部分が多く、仕事の浮き沈みも激しいから正直疲れてしまうこともあって。猛スピードで移り変わる時代に流されそうになることも多かったのですが、この期間がきっかけで、これからの時代は自分から流れを作ってみんなを巻き込んでいく方が絶対楽しいと気づいたんです。こんな時代だからこそ、自分からポジティブな提案ができる人として、新しいモデルのあり方を築いていけたら、と考えています。
「あの人素敵だな」と感じる人って、見た目だけじゃなく、醸し出す雰囲気や生き方も含めて魅力があると思います。私は肩の力が抜けた“人間臭さ”が垣間見える人が美しいと思うし、すごく惹かれます。多面的な魅力がある人って、美しい。そういう人をずっと見ていたいし、私もそうなれたらと思っています。
-今後高山さんが進んでいく先に、どのようなご自身の姿をイメージされますか?
職業はモデルですが、ラジオやお芝居、洋服作り、料理などいろいろやっていて「私はこれが専業です」と言えないことがコンプレックスだったこともありました。でも今はいろいろやれることこそが、私の長所なんだと思っています。肩の力は抜きつつも、いろいろなことを全部本気でやって、オリジナルでゆるぎない「高山都」という存在になりたいと思っています。
高山都(たかやま・みやこ)
Profile/1982年12月27日生まれ。モデル、女優、ラジオパーソナリティーなど幅広く活動。趣味は料理とマラソン。
「#みやれゴハン」として料理やうつわなどを紹介するインスタグラムが人気。
著書『高山都の美食姿』(双葉社刊)シリーズの続編が11月下旬に2冊同時発売予定。
Photographs by Naomi Circus
Hair & Make Yukako Morino
Text by Miyo Yoshinaga
Edit by Natsuki Tokuyama
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