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「私」に優しくいるために ニューノーマル時代のセルフケア

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今の時期、どうしてもいろいろなことにエネルギーを使いがちです。ソーシャルディスタンスや消毒の徹底、近所のお店の支援や抗議活動への参加、それから政治家宛の嘆願メールや署名運動、キャンペーンへの募金など、ぼんやりする暇もない人もいるかもしれません。このように「誰かのためにすべきこと」リストがどんどん長くなっていくなか、自分のケアを後回しにしてはいませんか?

 

「セルフケア」と言えば、バブルバスに浸かったり、フェイスマスクを顔に貼り付けたりと思いがちですが、それだけではありません。

 

臨床心理士の資格を持つレベッカ・B・スコルニック博士は、セルフケアについてこのように説明しています。「セルフケアについては、様々な面から語ることができると思います。たとえば心理的・身体的なものもありますし、プロに任せるもの、自分でできるものもあります」。スコルニック博士は心理セラピーを提供するMindWell NYCの共同創始者でもあります。別の視点から見れば、Zoom会議の合間に昼寝をしたり、手の込んだ料理を作ったり、はたまたベッドのなかでアイスクリームを食べたりするのもセルフケアだと言えるのかもしれません。特に現在のように新しい生活様式が更新され続けている時代には、何がケアになりうるのかを、一元的に解釈することはできません。自分にとって心地良い状態とは何なのか、改めて考え直す必要がありそうです。

 

そこで3人の心理学者に話を聞き、今すぐ自分に優しくなれるおすすめのセルフケア方法を教えてもらいました。どれも「すべきこと」リストをこなす合間にできる、シンプルなものです。

 

マインドフルネスと瞑想を試す

抗議活動に参加したり、Zoom会議をこなしたり、もしくは地元コミュニティや政治家の支援に精を出している間にも、ストレスはどんどん蓄積している可能性があります。忙しいスケジュールのどこかで、こうしたストレスを解消するための時間をぜひ見つけてください。「気づかないうちに溜まっているストレスを解消するためだけの、特別な時間を確保することが不可欠です」。そう語るのは、ロサンゼルスの心理学者シェリー・サマーフェルト博士です。「ストレスレベルが高くなると、心身にダメージを与えるだけでなく、認識力にも影響が出てきます」。まずおすすめなのは、呼吸に意識を向け、「今ここ」の感覚に集中するマインドフル瞑想だと博士は話しています。リモートワークの休憩時間や就寝前のエクササイズタイムなどに、短時間でも行うことができます。より詳しいやり方を知りたい方は、オンラインの瞑想クラスに参加したり、ポッドキャストや「Calm」のようなアプリを利用したりすることができます。

 

シカゴの臨床心理士グランド・マクドナルド博士は次のように話しています。「ストレスを感じていることに気づいたら、まずはどこかに座りましょう。一度深呼吸をして目を閉じ、身体の中に空気が出入りすることに心を傾けます。たった1分間でも、呼吸を続けながら座っているだけで、楽になると思いますよ」。またマクドナルド博士は次のようにも話しています。「このように、1日のうちに数分でも穏やかな時間を持つことも、リラクゼーションテクニックのひとつです」。忙しい日常のなかでもマインドフルネスを意識するヒントとして、自分が本当に読みたいと思える本を読んだり、オンラインのアートクラスを受講したりするのも良さそうです。自分が楽しめることで、日々のストレスを軽減してくれるようなものなら何であれ、それに没頭する時間を意識的に作るように心がけましょう。リモートワークをしている人なら、仕事の合間に料理をしたり、絵を描いたり、読書に集中したりするなど、毎日のルーティンに楽しみを組み込むことがおすすめです。

 

「感謝すること」も、マインドフルネスのテクニックのひとつです。「感謝のエクササイズを行うことで、物事をポジティブに捉えられるようになり、毎日生きていくなかで、感謝したいな、ありがたいなと思える出来事に気づくことができるのです」とサマーフェルト博士は言います。「そうすることで、ストレスの原因となるネガティブな感情から一旦離れることができます。毎日少しでもポジティブなものを探そうとすることで、健全なマインドセットを育むことができるでしょう。ポジティブな思考を続けることで、ストレスが軽減し、より楽観的な気持ちになれるだけでなく、たとえストレスを感じても、うまく付き合えるようになることが、研究結果からもわかっています」。

 

1日の終わりに、感謝していることをリストにして書き出してみましょう。感謝の対象は、たとえば洗い立てのシーツでも、地域のまとめ役をしてくれている人でも、何でも構いません。自分にとって大切な人や、コミュニティで一緒に活動している人たちに、感謝の気持ちを伝えるカードを書くのもおすすめです。

 

少しでも体を動かす

サマーフェルト博士は、「身体の健康状態は、心の健康状態にも影響を与えます」と指摘しています。「身体を動かすことで、気分や認識力の向上に関わる精神伝達物質が増加することがわかっています。散歩のようなちょっとした運動でもです。また運動はストレス解消にもなりますし、心のもやもやを取り払うきっかけになることがあります。セルフケアにとって欠かせないことです」。

 

ジムに通いづらい状況が続いているために、なかなか運動を日常のルーティンに取り入れられない人もいるかもしれません。しかし、会議の合間にちょっと散歩に出たり、朝起きてコーヒーを飲む前に軽いダンスをしてみたりなど、少し身体を動かすだけでも効果は十分にあります。「身体がストレスを感じると、腹部の筋肉が硬くなり、吐き気を催すことがあります」とマクドナルド博士は言います。「また、ストレスはアドレナリンを増加させ、胃などの消化器官で分泌されるその他のホルモンにも影響を与えるのです」。運動はホルモン分泌を正常化するため、アドレナリンの分泌を抑えることができ、不安レベルをコントロールしやすくなるそうです。

 

家で運動したい人は、オンラインでエクササイズクラスを受講したり、縄跳びやダンベルのように手入れをする必要があまりない器具を利用したりするのがおすすめです。ランニングやサイクリングも良いでしょう。なかなかやる気が起きないという人は、エクササイズを始めることをパートナーに宣言するか、運動仲間を見つけてみてはいかがでしょうか。誰が一番頑張っているかを競うのではなく、互いに励まし合い、エクササイズの進め方について相談し合うことができるでしょう。

 

マクドナルド博士は、運動をすることで、多幸感をもたらすホルモンであるエンドルフィンが放出され、不安レベルをコントロールする助けになるとも話しています。

 

栄養を見直す

自粛中にサワードウブレッドの焼き方を学んだり、ピクルス漬けをマスターしたりと、料理に精を出した人もいるかもしれません。何をどう食べるかは、人の気分とも必然的に結びついています。「ストレスを軽減するためには、バランスの取れた食事が欠かせません。体内にあるものはすべてつながっているのです」とマクドナルド博士は説明しています。栄養価や満足感が高いものを意識的に取り入れ、自分の心を癒しましょう。たとえば温かいオートミールは、脳の働きを穏やかにするセロトニンの放出を助けるそうです。またマクドナルド博士は、オレンジ、ホウレンソウ、脂が乗った魚、紅茶、ピスタチオ、アボカド、それから糖質と食物繊維が一緒になった良質な複合炭水化物も、ストレス撃退食材としておすすめだと話しています。

 

マクドナルド博士は「健康的な食生活を続けると、免疫システムの向上や血圧の低下が期待でき、ストレスによるダメージに立ち向かえるようになります」とも話しています。「日常的にヘルシーな食事を自分で用意できるようになれば、食生活も大幅に改善されますし、徐々にストレスレベルも軽減すると思います」。作りたいレシピを確認したら、買い物に出かけましょう。お気に入りのレストランで気軽に食事ができるようになるまで、おうちで料理を楽しんでみてください。

 

推奨されている水分量をきちんと摂取することも大切です。水を飲む習慣をつけたい人は、飲んだ量を記録してくれるアプリを利用することもできます。水を飲むたびに、自分の身体に良いことをしているのだと思い出すようにしてみましょう。野外での抗議活動に参加している人は、特に水分補給を忘れないでください。

 

自分のための時間を忘れない

自分のためだけの時間をなかなか作れないという人もいるでしょう。「1日のほとんどの時間を、仕事をしたり、仕事のための考えごとに費やしたりしている人は、自分にとって大切なことに使う時間を増やすように心がけてください。友達と会ったり、パートナーとの時間を大切にしたり。自分が楽しいと思える趣味に取り組むのも良いですね」とスコルニック博士は話しています。

 

「仕事が最優先」という意識で生きている人もいるかと思いますが、仕事とプライベートをしっかり区切ることで、燃え尽き症候群の予防にもなりますし、結果的に仕事も捗るようになるでしょう。働き過ぎをどうにか改善したいと思う人は、仕事時間に制限を設け、1日のうち数回休憩を入れるようにスケジュールを決めてください。スキルを磨き、新しい知識を得るために何かのクラスを受講するのも良いでしょう。休暇を取りたいと考えている人は、平日に寝坊したり、ベッドでブランチを食べたりするだけでも立派なバケーションになります。

 

マクドナルド博士は「日常のなかで境界を設けるように」と話しています。仕事が終わったらEメールの通知をオフにし、勤務時間が始まるまでチェックしないようにします。また、人間関係においても同じことが言えるようです。「限度を超えた要求をしてくる家族や、仕事後の自由時間に電話を度々かけてくる友人がいる場合にも、どこかで線を引くことが大事です」と博士は説明しています。「もちろん、家族も友人も大切な存在です。ですが相手の要求に必ず応えようとしていると、どうしてもストレスが溜まります。相手の期待に応えられなかった時はなおさらでしょう」。そのため、話し相手になれる時間を伝えるか、タイムリミットを設けるようにしましょう。そして必要な場合には、週末を1人きりで過ごすことも考えましょう。

 

「相手に自分のニーズとその理由を伝える際に大切なのは、主語を“私”にして話すことです」とマクドナルド博士は指摘しています。「境界を設けると決めてしまえば、たいていの場合、相手も理解してくれるはずです。人間関係のプレッシャーから解放されることで、ストレスもコントロールしやすくなります。要求にシンプルにノーと言うことが、ストレス軽減の唯一の方法という場合もあるのです。このように自分のニーズを大切にすることは、健全なセルフケアテクニックだと言えるでしょう」。

 

また、それが自分の境界内のことである限りは、相手のことを思いやることがセルフケアになる場合もあります。「見過ごされがちなことなのですが、誰かのお世話をしたり、他者への優しさを示したりすることも、セルフケアの重要な要素のひとつです。誰かを助けることが、自分の助けになる場合があるということです」とサマーフェルト博士は説明しています。「誰かに恩返しをしたり、支援したりすることで、自分が感じているストレスを忘れることができますし、気持ちが晴れる可能性があるのです」。利他主義とボランティアに関する研究によれば、他者や地域に恩返しをしている人は、健康や社会とのつながりが改善され、人生の目的をより強く実感できるようになったという結果が出ています」。

 

現状では、パンデミックの影響で一定の収入を得られていない人の支援や、抗議活動や募金活動に参加すること、そしてSNSを通じて必要としている人の声を拡散させることなど、できることはいくつもあります。家族や友人など、ただそばにいて寄り添うだけでも相手の助けになるかもしれません。大切なのは、自分の境界を把握しておくこと、そして必要な時にはきちんと線を引くことです。

 

五感を意識する

五感というのは、実は脳のなかで互いに結びついています。ですから、五感のすべてを活用することはとても大切になります。「たとえば自然の景色が映った写真を見る、アロマキャンドルの香りを嗅ぐ、心が落ち着く音楽を聴く、ラヴェンダーのクリームを塗るなど、感覚を意識的に使ってみてください」とスコルニック博士は話しています。「ストレスを和らげ、不安を解消するためには、自分で自分の気持ちを落ち着ける『セルフスージング(自己安定)』が必要になります。そうすることで、自分自身と向き合い、自分は大切な存在で、ケアする価値があると感じることができるでしょう」。家で過ごす時間が増えた人は、部屋のなかでも、視覚だけではなく五感すべてを働かせられるように工夫してみましょう。

 

実は、人間は赤ちゃんの頃からセルフスージングの方法を知っているのですが、大人になるにつれてそれを忘れてしまうそうなのです。「自分の心の安定を無視し続けていると、ストレス過多になり、問題に対処することが難しくなる可能性があります」とスコルニック博士は指摘しています。「五感を落ち着かせることで、感情と向き合い、うまくコントロールできるようになります。ネガティブな思考パターンや行動パターンに気づき、自分を批判することをやめられるようになります。また認識力も高まり、人生における選択をマインドフルに行う助けにもなるでしょう」。

 

ですから次のリラッククスタイムには、映画を観るのではなく、香り当てゲームをしたり、最高に手触りの優しい服に着替えたり、味わい深いお菓子を用意してみてはいかがでしょうか。あらゆる角度から、自分に優しくする方法を探しましょう。

 

頭脳ゲームを楽しむ

新聞で必要な最新情報を仕入れたあとは、クロスワードのページをとっておきましょう。実はこれも、セルフケアに役立つのです。サマーフェルト博士は「認知機能は、セルフケアや脳の健康において重要な役割を果たしています」と言います。「パズルやクロスワードといった頭脳ゲームに挑戦しましょう。頭を働かせることで、日々蓄積するストレスを忘れ、集中力や注意力、そして認知機能を向上させることができます」。

 

言葉遊びゲームが苦手な人は、癒される景色や憧れの場所などが印刷された1000ピースのパズルを買い、1日のどこかでパズルに集中する時間を持ちましょう。作り終わったあとは、友人や近所の人たちとパズルを交換しても良さそうです。リモートワークをしていると、どうしてもインターネットやスマートフォンの誘惑に負けそうになります。ですから意識的にスクリーンから離れ、頭を使うゲームに没頭することで、リモート疲れを解消しましょう。

 

 

この記事は、Refinery29のEvelyn Zhangが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、legal@newscred.comにお願いいたします。

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