自分らしい生き方を見つけていく――ポーラで働く3人が語る、多様性との向き合い方

「一人ひとりの魅力が明日につながる」というメッセージを多くの人に届けるために、”あなたの近くにいる、チャーミングで周りに元気をくれる人”を追いかけた、ドキュメンタリー企画「Focus on You」。

プロジェクトにはポーラの社員とビューティーディレクター、計3名が登場。彼らがどのように仕事と向き合い、また日々の生活を過ごしているかに焦点を当てたムービーが公開されました。

今回は、3人がどのように “自分らしさ”を捉えながら仕事と向き合っているのか、動画では語られなかった思いについて、オンラインを通して話を聞きました。
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販売・メークアップ・研究、美容への3つのアプローチから生まれるライフスタイル

本多真弓さんは北海道・札幌にあるユニバーサルデザインに対応した店舗「ポーラ バリアフリーサロン Peco×RY(ペコリー)」で働くパーソナル・エステティシャン。自身がもつ神経疾患とも向き合いながら「ユニバーサル美容」をテーマに活動しています。
本多「自分が車椅子になっても仕事ができる環境を準備したい、ということがこのお店を作った第一の目的でした。私たちが掲げているユニバーサル美容は、『車椅子だからこうしたい、されたい』という考えではなく『ハンディキャップも自分の一部だ』ということを受け止めた上で、お客さまとフラットな目線でのお付き合いをしたいと思っています」
オフはライブに行ったり、自宅で友人と“たこ焼きパーティー”をしたりするという本多さん。リラックスできるひと時は、中学3年生の娘さんとTikTokやYouTubeを一緒に観ている時なのだそう
中岡弘喜さんは、メーク教育のディレクションや店舗でのメークショー、新体操日本代表「フェアリー ジャパン POLA」の美容コーチなど多岐にわたり活動するメークアップアーティスト。第一線でバリバリと活躍する中岡さんですが、駆け出しの美容部員時代は接客が苦手で「できない子」だったと振り返ります。メークを学ぶことで、顧客との接し方が大きく変わったのだとか。
中岡「20歳から百貨店の美容部員として働きはじめたのがキャリアのスタートでした。はじめは接客から逃げてばかりで、売り上げも低くて。このままじゃいけないと思って、メークアップアーティストの先輩から技術やスタンスを学ぶうちに意識が変わりました。
周りが見えるようになったというか、そのお客さまがどのような方なのかということが来店された瞬間に何となく雰囲気でわかるようになるんです。そうなると接客のアプローチが早くなる。さっき隣のメーカーでファンデーションを触っていたお客さまだ、とか。そういう細かいところの積み重ねで行動も変わっていったのだと思います。この経験がいまの自分のベースを築いたと思います」
フットサルが趣味の中岡さん。仕事の以外の場所にもコミュニティを持つことは、精神的にもとても良い影響があるのだとか
原田靖子さんは神奈川県・戸塚にあるポーラ化成工業(株)で化粧品の開発に携わる研究員。シワやたるみといった人の肌にまつわる悩みにアプローチできるような研究を日々行なっています。
原田「入社してからずっと『なぜ肌悩みは起こるのか?』を研究しています。顕微鏡を真っ暗なラボで覗きながら半日を過ごすこともあるのですが、時間感覚が分からなくなることもあって。『ラボに入ったのは1時くらいなのに、もう6時?』みたいなことは結構ありますね(笑)。 あと、目の周りの筋肉を研究することが多いので、人と会った時についつい目尻の皺を観察してしまうなど、普段から研究のことを考えちゃう癖があります」
学生時代は海洋大学で魚の研究をしていた原田さん。いまも魚介類と接するのは大好きで、自宅では魚を3種類、海老を3種類飼っているそう。研究に疲れた時は、自宅の電子ピアノに向かって弾きたい曲を弾くことで、脳をリセットしているとのこと
美容という人々の暮らしと密接した仕事に携わるということは、仕事と日常にどこか地続きの部分ができてくるもの。プロとしての心構えは、いつしかその人の個性を形づくる習慣に変わります。中岡さんと本多さんは、日々の接客で培われた習慣があるようです。
中岡「僕は、メークをする相手の性格を探るようにしていますね。その人の好みや性格にフィットするようなメークを提案したくて。仕事以外の時間でも、話し相手の性格を考える癖がついています」
本多「私は、普段のサロンでの接客から相手の良いところをその場で伝えることや、話を聞いてその人のことを深掘りすることが習慣になっていますね。仕事では、お客さまがいまできることを活かして、無理なく続けられるケアを心がけているので、その方が無意識で行なっていることを観察し、ピックアップすることが多いです」

現場で実感する“お客さま”から“あなた”へのシフト

公開された「Focus on You」の動画では、3人がそれぞれの「自分らしさ」について語るシーンが登場しました。中岡さんは、男性がメークをして自分らしさを表現する風潮について「社会に変化が生まれてきている」と語ります。
中岡「僕自身、例えばスチール撮影をしているときに、男性的な目線で『女性って美しいな』と思う時はあって、そういう時に自分ってやっぱり男性なんだなと感じます。だけど、考え方としてはフラットでいたいと思っています。
仕事を始めた当初から、自己表現としての“メーク”をお手伝いすることで、そういう行為に社会的な意味を持たせたいと思っていました。時代が進むにつれて、社会にそういった基盤ができてきているのは肌身をもって感じていますが、一歩踏み出したいのに踏み出せない方や『メークによって変われる』ことをご存知ない方はまだまだいらっしゃるはず。そういった人々に対しメッセージを伝えていく役割を担っているのだということは、常に意識しています。
特にコロナ禍でライフスタイルが多様化していくなかで、接客をする相手が“お客さま”という総体から“あなた”という個人に変わってきている。様々な背景を持った『たった1人の自分』に向けた提案が求められているなと強く感じるようになりました」

Focus on You プロジェクト『中岡さん』篇/株式会社ポーラ #pola #ドキュメンタリー #メークアップアーティスト#ジェンダーレス

メークの現場で象徴的に現れるライフスタイルの多様化。本多さんは、コロナ禍で加速するサービスのオンライン化が、男性メークの風潮を後押ししていくだろうと考えていると言います。
本多「メンズ美容への意識が若い世代で高まっていることは明らかで、お母さんが息子さんを連れて来店してくださることもありますし、10代後半から20代の男性はスキンケアや目元のメークも当たり前にするようになってきています。それでもお店に来るのが恥ずかしいと思う人はまだまだ多いので、メンズ美容のオンラインレッスンを開催したらすごく需要があると思います。オンラインなら自宅から参加できますし、顔を出す必要もないですし。
お店に足を運べない事情がある人にとっても“ユニバーサル”でありたいと思ったら、オンラインはすごく良い手段だと、コロナ禍を通じて感じました」

Focus on You プロジェクト『本多さん』篇/株式会社ポーラ #pola #ドキュメンタリー #ユニバーサルデザイン #バリアフリー

ジェンダーフリーな考え方は、研究・開発の現場でも同じく浸透してきているのだとか。原田さんは「女性/男性向け」という観点よりも、いまはいかに「一人ひとりの肌に合った化粧品」を開発できるか、を考えるフェーズに移ってきていると語ります。
原田「肌の質やハリ感は男性と女性で違うので、従来なら性別によって実験に使う細胞を変えることもありました。今後は性差ではなく個人が持つ肌質にフォーカスした製品を開発することが重要になってくると思います。10人いたら10通りの化粧品がある、ということが実現できるところまでいきたいですね。
なので、根底にある思想はお二人の考えと通じていると思います。業務の領域は違うけれど、乗っているレールは一緒。研究も、美容のあり方を“バリアフリー”から“ユニバーサル”へと一歩進めるための一つの手段なんだな、とお話を聞いて実感しました」

Focus on You プロジェクト『原田さん』篇/株式会社ポーラ #pola #ドキュメンタリー #化粧品研究 #研究員

また原田さんと本多さんからは、男性のお客さまとのやりとりを通し、美容に対する新しい楽しみ方に気づいたというお話も。
原田「男性のお客さまの中には『この成分がこう効くのか、すごい!』という反応を伺うことがあります。もちろんテクスチャーやデザインをお気に召す方もいらっしゃいますが、肌悩みへのアプローチの仕方を分析されたうえで、肌に変化が起きる現象そのものを面白いと思ってくださる方が多いように思います」
本多「たしかに、私がAPEX(ポーラのパーソナライズスキンケアブランド)の肌プランニングで成分の説明をしている時も、この成分は何に効いてどう作用するの? ってことを楽しそうに知りたがるお客さまが多いですね。料理を作るときに調味料やスパイスにこだわるような感覚で、美容を楽しんでいらっしゃる。新しい観点だなと思いました」

様々な想いが込められたバトンをつないでいくために

個に目を向ける、という共通の課題と向き合う3人。一方で、どういった瞬間にやりがいや自分らしさを感じるのか? という質問に対しては、 三者三様の答えが返ってきました。
原田「自分がなぜ大学の研究員ではなく化粧品会社の研究員になったかのかというと、『身近な人の役に立ちたい』という考えが根底にあったから。自分が関わった商品を家族に使ってもらえたりすると、大切な人の生活の一部を作ることができた、という実感が持てて、嬉しいんです。
直接お客さまに接する機会はないですが、百貨店で自分の手掛けた製品が並んでいるのを見た時や、間接的にお客さまの声や反応を聞いた時は『自分なりのアプローチが届いたんだな』と思ってワクワクするんですよね。
同じ研究チームの後輩には、本人が納得してやれているかどうかを考えながら指示をするようにしているんです。こうすることでこの研究がこんなふうに面白くなる、というところまで気づかせてあげることがとても重要だと思っています」
中岡「僕も人に喜んでもらうことが好きなので、メークを通じて笑顔になっていただくことが一番のモチベーションになっていると感じます。それぞれにフィットするメークを発信して、自己表現をもっと楽しんでいただく。そこに貢献することは目標の一つです。
また、『Focus on You』の撮影を通じて、ポーラのプロダクトにはいろいろな現場の人たちのそれぞれの思いが詰まっていることを実感しました。大事に届けないといけないなと、改めて思います」
本多「かつて習慣としてやっていたのは、今日は誰にお世話になったか、誰にお礼を言いたいかってことを毎晩寝る前に考えていたんです。それが今の仕事に対するスタンスの基礎になっている気がします。
自分だけで達成することよりも、皆で何かを作りあげたり、新しいお客さまと出会って感動のストーリーが生まれたりすることの方が、たまらなく嬉しい。
私は、1対1で接客をしているとどうしても孤独感を抱いてしまう時があるんです。でも、私の仕事は多くの方の様々な思いのもとに作られたものをアンカーとしてお客さまに届けているんだ、と思えば、孤独を感じる必要はないんだと実感しました。つながっているんだという自覚を持ちながら、我々のサービスやプロダクトを愛してくれる人を増やしていきたいです」
お客さまだけでなく自分以外のスタッフが抱えている個人的な思いにも向き合うことで、自らの仕事の確かな手応えを得ることができる。そんなオープンな心が、彼らのチャーミングさの秘訣なのかもしれません。
Photography by Harumi Shimizu
Text by Nozomi Takagi
Edit by Kunihiro Miki
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